2023.06.27
虫歯
歯医者が苦手だと感じる方のなかには、虫歯治療の痛みがトラウマになっているという方も多いのではないでしょうか。
しかし、実は虫歯治療の痛みは、なぜ治療の際に痛むのかというメカニズムを知って、対策をすればそれほど怖いものではありません。
実際、ほとんど痛みを感じないように、虫歯を治療することも可能です。
この記事では、虫歯治療の痛みの理由、痛みを抑えるコツや注意点について解説します。
Contents
虫歯治療は痛いものと考えている方は多いかもしれませんが、痛くない虫歯治療もあります。
通常であれば痛みを伴うような虫歯であっても、うまく麻酔を活用すれば治療中の痛みを抑えることが可能です。
また、麻酔注入時の痛みへの対策としてあらかじめ歯ぐきに麻酔を塗ったり、麻酔をしても痛ければ神経の根元に伝達麻酔をしたりする方法もあります。
虫歯の治療が痛い理由は、治療時に歯の神経付近に刺激が与えられるためです。
歯の外側には、エナメル質という硬い層がありますが、ここを削るだけでは一般的に痛みは生じません。
しかし、エナメル質の内側にある象牙質を削ると、歯の神経に刺激が伝わって痛みを感じることがあります。
また、歯の神経まで虫歯が進行している場合には、麻酔が効きにくいことから、痛みが発生しやすくなります。
虫歯の治療を受けていて、痛みを感じるとき・感じないときがあるのを不思議に思っている方もいるのではないでしょうか。
虫歯治療の際の痛みは、主に虫歯の進行度によって変わり、虫歯が進行しているほど痛みを感じやすくなります。
以下では、CO〜C4までの虫歯の進行度と、治療時の痛みの関係性について解説します。
COは、虫歯になりかけていて、歯の表面が白く変色している状態です。
歯を削るような治療はせず、フッ素塗布などによる経過観察になることが多く、治療時に痛みが発生することはありません。
C1は、初期虫歯とも呼ばれており、エナメル質に虫歯の菌がある状態です。
自覚できるような痛みは発生しませんが、経過観察では悪化するおそれもあるため、歯を削って詰め物をする治療が行われます。
ただし、エナメル質の一部を削るだけなので、治療時の痛みはほとんどありません。
C2は、中期虫歯とも呼ばれており、象牙質まで虫歯が進行している状態です。
冷たいものや甘いものを食べたときに、痛みを感じたり、しみたりするため、日常生活のなかで虫歯を自覚する方が多くなります。
治療の際には、象牙質の一部を削るときに痛みが生じやすく、麻酔を使用することもあります。
C3は、重度虫歯とも呼ばれており、歯の神経まで虫歯が進行している状態です。
虫歯が神経まで進行すると激しい痛みが生じることから、ほぼすべての方が虫歯であると自覚します。
歯の神経を抜く根管治療になることも多く、強い痛みを感じやすいため、麻酔を使用するケースがほとんどです。
C4は、末期虫歯とも呼ばれており、歯の神経が死んでしまって歯もほとんど残ってない状態です。
歯の神経が死んでしまうと痛みを感じなくなりますが、虫歯の菌は根の先に潜んでいるため、放置するのは非常に危険です。
ここまで進行すると、抜歯するしかなくなり、抜歯時と抜歯後に痛みが生じます。
抜歯時の痛みは麻酔をしてやわらげることができますが、抜歯後の痛みは痛み止めなどで対処するしかありません。
虫歯治療で痛みを感じやすい方の特徴としては、下記の3つがあげられます。
以下では、それぞれのパターンについて解説します。
虫歯部分の炎症が強い方は、神経にまで虫歯が進行している可能性が高く、治療時に痛みを感じる可能性が高いです。
普段からズキズキと痛むような感覚があれば、炎症を起こしている状態と考えてよいでしょう。
治療時には麻酔を使用しますが、麻酔が効きにくいことがあるため、炎症を抑える処置を優先する方法もあります。
下の奥歯に虫歯がある方は、治療の際に麻酔が効かない場合があります。
顎の骨格の問題で、下の奥歯は骨が分厚く、麻酔液が浸透しにくい部分です。
そのため、複数回にわたって麻酔を打つほか、それでも強く痛みを感じる場合には、神経に直接麻酔をする「髄腔内麻酔」を行います。
骨が分厚く硬いと、麻酔液が完全に浸透しにくいため、骨格がしっかりしている方は、麻酔が効きにくい傾向があります。
ただし、麻酔液の量を調整するなどの方法で対応が可能です。
虫歯の治療をできるだけ痛くないようにするコツとして、以下の5つがポイントとなります。
続いて、それぞれの方法について詳しく解説します。
虫歯の治療の痛みを抑える方法としては、麻酔をするのがもっともメジャーです。
麻酔には痛みを和らげるのと同時に、緊張をほぐしリラックスさせる効果もあります。
なお、麻酔を注入する際の痛みが苦手な方は、浸潤麻酔をする前に、歯ぐきに薬剤を塗る表面麻酔を行うことも可能です。
虫歯治療に対して「痛い」という不安を取り除いたうえで、治療に向き合うのが望ましいでしょう。
そのためには、医師からしっかりと虫歯治療に関する説明を受けることが大切です。
それでも心配な方は、鼻から吸入してもらう「笑気麻酔」などを活用し、リラックスした状態にすることもできます。
治療が痛くない歯医者を選ぶことも重要です。
患者さんの表情や反応を見ながら、丁寧に治療をしてくれる歯医者を探してみましょう。
そのためには、口コミや評判などを参考にしつつ、実際に通っている方から評価の高い歯医者を選ぶのがポイントです。
前述のとおり、初期虫歯の状態であれば、ほとんど痛みを感じることなく治療をすることができます。
つまり、虫歯の早期発見こそ、治療時の痛みを抑えるうえで、もっとも効果的といえるでしょう。
しかし、初期の虫歯は自覚症状もなく、自分で見つけるのは難しいため、数ヶ月おきに定期検診を受けるようにすると安心です。
虫歯かもしれないと感じたら、すぐに歯医者を受診することも大切です。
一度、虫歯になってしまった歯は自然に治ることはなく、進行するにつれて治療時の痛みも大きくなります。
虫歯を見つけたら一日でも早く歯医者を受診し、適切な処置を受けるようにしましょう。
当院では、虫歯治療の痛みをやわらげるうえで、さまざまな工夫をしています。
治療時の痛みは、患者さんにとって大きな不安材料であることを理解し、できる限りの対策に取り組んでいます。
以下では、虫歯治療が痛くない理由について解説します。
虫歯の治療時に行われる麻酔には、主に以下の2つがあります。
麻酔の種類 | 特徴 |
通常麻酔(浸潤麻酔) | 治療の痛みをやわらげるために、虫歯の周辺の歯ぐきに麻酔液を注入する |
表面麻酔 | 通常麻酔の注射針による痛みをやわらげるために、歯ぐきの表面に麻酔液を注入する |
通常麻酔を注入する際の痛みが苦手な方も多いため、表面麻酔を併用することによって、麻酔の痛みも抑えられるようにしています。
麻酔液の温度が低いと、麻酔を注入した際に刺激が伝わって痛みが生じやすくなります。
そのため、できるだけ負担がかからないように、人肌に近い温度に温めた麻酔液を使用しています。
麻酔時の痛みには、注射針を刺したことによる痛みもあります。
そこで、注射による痛みを軽減するうえで、当院ではできるだけ細い注射針を使用しています。
当院では、通常麻酔をしても痛みを感じる場合、伝達麻酔という方法をとっています。
たとえば、下の奥歯や親知らずなどは麻酔が効きにくく、通常麻酔では十分に痛みをやわらげられないことがあります。
一方、伝達麻酔であれば、神経の根元の部分に薬剤を注入することによって、効果の範囲を広げることが可能です。
最後に、痛くない虫歯治療に関してよくある質問と回答について紹介します。
虫歯治療後の痛みの耐え方として、鎮痛剤を服用する方法があります。
歯医者で処方してもらうこともできますが、市販の痛み止めでも問題ありません。
通常、治療後の痛みの原因は、歯を削ったことにより歯の表面が神経に近くなるためです。
しかし、この痛みは数日程度で引くことがほとんどです。
麻酔なしで虫歯の治療をする理由として、麻酔が体質的に合わない場合、身体に負担がかかってしまうことを懸念して、強い痛みがなさそうであれば麻酔なしで治療します。
また、虫歯の部分は削っても痛みが生じることはなく、周辺の健康な部分を削るときに痛みが生じます。
そのため、虫歯の部分だけを治療する場合、麻酔なしで治療されることが多いです。
麻酔注射の痛みの対策方法は、表面麻酔がしっかり浸透してから麻酔注射を打つことです。
表面麻酔が完全に浸透していない状態で麻酔注射をすると痛みが生じることがあります。
虫歯かもしれないと思いつつ、なかなか歯医者に行けていない方も多いのではないでしょうか。
自覚症状が表れる前に早期発見するのがベストではありますが、歯科を受診する方の多くは痛みが表れていることがほとんどです。
そのため、虫歯に痛みがあっても手遅れということはまったくありません。
痛みが出て間もない時期であれば、それほど進行しておらず、すぐに治療を済ませられるケースがほとんどです。
一方、痛みを放置しておくとどんどん進行してしまい、最悪の場合は抜歯することになってしまいます。
虫歯の治療は、とにかく早い段階で歯科を受診することが大切です。
まずはお気軽にお問い合わせください。