
2025.01.10
虫歯
シーラントは、虫歯を予防する歯科診療の1つです。
特に歯磨きが届きにくい奥歯の溝は虫歯になりやすい部位であり、シーラントを施すことでリスクを減らせます。
この記事では、シーラントのメリット・デメリットや施術手順、子どもと大人の違い、費用相場までを詳しく解説します。
Contents
シーラントとは、歯の溝を樹脂で埋め、細菌の侵入や食べ物のカスが溜まるのを防ぐことで、虫歯を予防する歯科診療です。
奥歯の溝は複雑な形状をしているため、歯ブラシの毛先が届きにくく、食べ物のカスや細菌が溜まりやすく、虫歯になる可能性が高いです。
また、歯の表面には小窩裂溝という溝があり、この溝にも汚れが溜まりやすく、虫歯の原因となります。
シーラントでは、このような歯の溝をシーラント材で埋め、虫歯を予防します。
また、似たように虫歯予防を目的とした歯科診療の「フッ素塗布」という名前を聞いたことがある方もいるでしょう。
フッ素塗布は、歯の表面全体を強化するのに対し、シーラントは溝という特定の部位を物理的に埋めるという点が違います。
シーラントの最大のメリットは、虫歯のリスクを減らせることです。
歯の表面や奥歯の複雑な溝を埋めることで、食べ物のカスが溜まりにくくなり、虫歯ができづらくなります。
特に歯磨きが難しい子どもや奥歯の虫歯の再発を繰り返している場合には、シーラントが虫歯予防に有効だと言えるでしょう。
シーラントには虫歯のリスクを減らせるメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
大きなデメリットとしては、シーラント材が時間の経過とともに剥がれたり、欠けたりする可能性があることが挙げられます。
特に、噛み合わせの強い方や歯ぎしりがある方は、シーラント材が外れやすいです。
シーラント材が取れた場合には、歯医者でシーラントの状態をチェックする必要があります。
また、シーラントは100%虫歯を防げるわけではありません。
欠けたシーラントの隙間から、細菌が入ると、シーラントの下で虫歯が進行する「隠れ虫歯」のリスクもわずかながら存在します。
シーラントをしたとしても、毎食後に丁寧な歯磨きを行うようにしましょう。
シーラントは子どもと大人のどちらにも有効な予防方法ですが、目的に違いがあります。
子どもの場合は生えたばかりの歯にシーラントを施すのに対して、大人の場合はもうすでに生えている歯にシーラントを施すことになります。
そのため、大人と子どもでシーラントの目的が
以下では、大人と子どものシーラントの違いを詳しく解説します。
子どものシーラントは「虫歯になる前の予防」が目的となることが多いです。
6歳頃になると乳歯から永久歯に生え変わりますが、生えてきたばかりの歯は、まだ柔らかく、虫歯になるリスクが大人と比べて高いです。
また、子どもの場合は自分で丁寧に歯を磨くのが難しい場合も多く、虫歯のリスクが高くなりやすいと言えます。
そのため、子どもの虫歯予防には、シーラントが向いているでしょう。
大人のシーラントは「虫歯リスクの高い場合の対策」が目的となることが多いです。
基本的にシーラントは大人には行いません。
しかし、虫歯の再発を繰り返している場合や、奥歯の溝が深すぎる場合には、大人でもシーラントを施すことがあります。
奥歯が虫歯になりやすい方は、シーラントを検討してもよいでしょう。
シーラントの施術手順は、以下のとおりです。
それでは、シーラントの施術について各手順を詳しく解説します。
シーラントを施す前は、歯の表面の汚れを除去しきれいにします。
歯の表面に付着した汚れや歯垢があると、シーラント材の接着が不十分になってしまうため非常に重要な工程です。
この工程では、小さなブラシやペーストを使って、歯の表面を優しく磨きます。
汚れを除去したら、次に歯を完全に乾燥させます。
水分が残っていると、シーラント材の接着力が低下してしまうため、しっかりと乾燥させることが重要です。
また、施術中はコットンロールやエアブローを使い、処置中に唾液が歯に触れないようにします。
「酸処理」という言葉は少し不安に聞こえるかもしれませんが、これは歯の表面に微細な凹凸を作り、シーラント材の接着力を高めるための重要な工程です。
酸処理が終わったら、数十秒後に水で洗浄し、乾燥させます。
もし酸処理が不安な場合には、事前に歯医者に相談してみてもよいでしょう。
酸処理をして歯が乾燥したら、歯の溝にシーラント材を丁寧に塗布します。
シーラント材は液状の樹脂で、歯の複雑な溝にもしっかりと流れ込み、隙間なく埋められます。
使用するシーラント材は、透明または白色の歯に近い色調のものが多く、見た目にほとんど目立ちません。
使用するシーラント材が光重合型の場合、塗布後にブルーライト(LED光)を当てて硬化させます。
硬化したシーラント材は、強固に歯に結合するため、日常生活で歯にかかる力に耐えられるようになります。
シーラント材が硬化したら、かみ合わせの確認と調整を行います。
シーラント材が厚すぎるとかみ合わせに違和感が生じるため、必要に応じて微調整を行います。
かみ合わせが悪いと顎に負担がかかりやすいため、もしシーラントの塗布後に違和感がある場合には歯医者に相談しましょう。
最後に、シーラントが適切に硬化し、すべての溝がしっかりと埋まっているかを丁寧に確認します。
確認ができたら、シーラントの仕上がりに問題がなければ、施術は終わりです。
シーラントの費用は、保険適用か自費診療かによって異なります。
保険が適用されるかどうかは、施術内容や素材によっても変わるため、詳しい費用が気になる場合には歯医者に相談しましょう。
それでは、シーラントの費用を保険適用の場合と自費診療の場合に分けて詳しく解説します。
シーラントは、6〜12歳の子どもの場合に保険が適用されます。
一方で、大人の虫歯予防でシーラントを行う場合には、保険が適用されない可能性が高いです。
保険適用の場合の費用は、歯1本あたり500円〜1,000円程度です。
自費診療の場合の費用は、シーラントを行う歯科医院や使用する素材によって異なります。
そのため、詳しい費用が知りたい場合には、1度歯医者に相談してみましょう。
相場としては、歯1本あたり2,000円〜5,000円程度です。
虫歯かもしれないと思いつつ、なかなか歯医者に行けていない方も多いのではないでしょうか。
自覚症状が表れる前に早期発見するのがベストではありますが、歯科を受診する方の多くは痛みが表れていることがほとんどです。
そのため、虫歯に痛みがあっても手遅れということはまったくありません。
痛みが出て間もない時期であれば、それほど進行しておらず、すぐに治療を済ませられるケースがほとんどです。
一方、痛みを放置しておくとどんどん進行してしまい、最悪の場合は抜歯することになってしまいます。
虫歯の治療は、とにかく早い段階で歯科を受診することが大切です。
まずはお気軽にお問い合わせください。