2024.05.01
虫歯
奥歯は歯ブラシが届きにくく、虫歯になりやすい部分です。
鏡でもなかなか見えないため、違和感や痛みが生じるまで気付けないことも少なくありません。
今回の記事では、奥歯の虫歯を治療する方法、治療後の処置、奥歯の虫歯に関するよくある質問について解説します。
Contents
奥歯の虫歯を治療する方法としては、主に以下の3つがあります。
以下では、それぞれの治療方法について解説します。
虫歯とは、歯に穴が開いた状態のことを指しますが、初期虫歯とは穴が開く一歩手前の状態であり、歯科検診ではC0と呼ばれます。
痛みをはじめとする自覚症状はありませんが、エナメル質が溶け出したり、白濁したりしているため、健康な歯に比べて密度が低下しています。
初期虫歯の場合、悪い部分だけを削ってコンポジットレジンを詰めるだけで治療が完了します。
根管とは、栄養や水分を運ぶ歯髄が入っている部分です。
歯髄は、エナメル質・象牙質よりも内側にあり、神経や血管が通っています。
虫歯が歯髄まで到達した際は、虫歯に感染した歯髄を取り除きながら消毒・密閉して治療します。
歯髄まで進行した虫歯を放置しておくと、やがて歯髄が壊死して歯冠部(歯肉より上の部分)が崩壊してしまいます。
ここまで虫歯が進行すると、抜歯しなければいけません。
歯髄が壊死してからは痛みなどの自覚症状はありませんが、虫歯の進行は続いているため、早急に治療をする必要があります。
歯肉の中にある根の先に膿がたまった結果、顎が腫れて痛みが再発してしまうおそれもあります。
奥歯の虫歯を治療する際は削って終わりではありません。
削ったまま放置しておくと、残った部分が傷ついたり、噛み合わせが合わなくなったりと、日常生活に支障をきたしてしまいます。
虫歯の治療後の処置は進行度によって異なりますが、主に以下のような処置を行います。
初期虫歯の場合、悪い部分のみを削ったあとにコンポジットレジンを詰めます。
コンポジットレジンとは、セラミック樹脂と合成樹脂の複合プラスチックでできており、白い見た目をした詰め物です。
レジン充填はメリットが多い治療法とされており、具体的には以下のような利点があります。
ただし、時間がたつにつれて変色や摩耗しやすいデメリットもあります。
レジン充填では対応できないような広範囲の虫歯には、インレーと呼ばれる詰め物を使って治療します。
インレーは、金属やセラミックなどの素材でできた詰め物であり、歯を覆うようなものはアンレーとも呼ばれます。
削った歯の形に合わせて型取りをする必要があるため、最低でも二回通院しなければなりませんが、その分かみ合わせはよくなります。
インレーの場合、素材によって保険の適用可否が異なる点に注意しましょう。
パラジウム合金(銀歯) | 適用 |
金合金 | 適用外 |
セラミック | 適用外 |
保険が適用されるパラジウムは治療費を抑えられますが、隙間ができやすいことから虫歯が再発しやすくなるおそれがあります。
二次的に虫歯ができにくい素材としては金合金があげられますが、素材の取引相場によって治療費が高額になりやすく、見た目が目立つ点がデメリットです。
近年人気のセラミックは審美性の高さが特徴であり、健康な歯とほぼ同様の見た目に仕上げられます。
ただし、保険適用ができないほか、強くかむと割れることがあります。
歯の頭がすべてなくなるような虫歯にはインレーでは対応できず、クラウンと呼ばれる被せ物で治療をします。
主な素材としては、以下のようなものがあります。
パラジウム合金(銀歯)、金合金、セラミックはインレーでも紹介したとおりですが、ジルコニアは白い金属と呼ばれる素材です。
強度が高いうえ、汚れや細菌が付着しにくく、被せ物の素材として非常に適しています。
また、ジルコニアのクラウンには、ジルコニアのみでできたものと、ジルコニアとセラミックを組み合わせたものがあります。
ジルコニアはセラミックに比べて透明感や色調が劣るため、できるだけ本物の歯と同じ見た目にしたい方には後者がおすすめです。
ブリッジとは、両隣の歯を支えにして人工歯を装着して、歯がない箇所に歯を取り付ける方法です。
ブリッジによる治療のメリットは、以下のとおりです。
一方、以下のようなデメリットもあります。
複数の歯で虫歯が進行してしまい、連続して歯がなくなってしまうとブリッジによる治療はできないため、入れ歯かインプラントによる治療となります。
入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯の2種類があります。
部分入れ歯は残っている歯に金具をかけて固定するもので、総入れ歯は歯がなくなった場合に入れるものです。
部分入れ歯は基本的に保険適用となりますが、残っている歯にかける部分の素材を金具以外にすると保険適用外です。
ただし、金具のものよりも歯に優しく、フィット感も優れています。
総入れ歯を保険適用で製作する場合、口内の上の部分がプラスチック素材になります。
強度をもたせるために厚めにつくられますが、熱の伝導が悪く、違和感をもつ方もいます。
一方、保険適用外では金属素材の総入れ歯をつくることもでき、こちらは装着時の違和感が少ないといわれています。
インプラントとは、体内に埋め込む医療器具や材料を指し、歯科医療では顎の骨に埋め込む人工歯根のことです。
一本から歯全体まで対応可能ですが、インプラントは手術が必要であるため、以下のような方には適用できません。
一方、インプラントには以下のようなメリットもあります。
ただし、治療費が高額になりやすいうえ、麻酔を使った手術をすることから治療期間も4〜6か月と長期間に及びます。
奥歯は虫歯になりやすいと知り、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
以下では、奥歯の虫歯に関するよくある質問と回答について紹介します。
歯の溝が黒いからといって、かならずしも虫歯とは限りません。
コーヒーや紅茶などによる着色が原因であることもしばしばあります。
まずは、歯医者を受診して、歯の表面の掃除やレントゲンで判断しましょう。
着色が起きている部分は虫歯になりやすいため、フッ素による予防治療なども受けられます。
虫歯が進行していても治療はできます。
進行度によっては歯を残せないこともありますが、ブリッジやインプラントによって健康な歯と同じような見た目に仕上げることも可能です。
麻酔をして痛みをやわらげる治療などもあるため、まずは一度ご相談ください。
歯は表面よりも内側の層の方がやわらかい構造です。
そのため、表面に小さな穴が開いて内側に大きな空洞をつくることがあります。
このような状態では表面はなんともありませんが、硬いものを食べたときや食いしばったときに歯が欠けることもあります。
歯が欠けてしまうと、口内や舌を傷つけるだけでなく、内側の層が露出してさらに欠けやすくなったり、虫歯になりやすくなったりします。
そのため、二次被害が発生する前に歯医者を受診することが大切です。
虫歯が原因で喉が痛くなることもありますが、親知らずが原因であることも少なくありません。
智歯周囲炎では、親知らずが生えきらず、歯茎に埋まったままの状態でいると、細菌が増殖して炎症を起こしやすくなることから喉の付近が痛くなります。
また、親知らずは口を開閉するための筋肉の近くにあるため、親知らずの抜歯後には下顎から喉にかけて痛みが生じることもあります。
対処方法としては、以下のようなものがあります。
虫歯かもしれないと思いつつ、なかなか歯医者に行けていない方も多いのではないでしょうか。
自覚症状が表れる前に早期発見するのがベストではありますが、歯科を受診する方の多くは痛みが表れていることがほとんどです。
そのため、虫歯に痛みがあっても手遅れということはまったくありません。
痛みが出て間もない時期であれば、それほど進行しておらず、すぐに治療を済ませられるケースがほとんどです。
一方、痛みを放置しておくとどんどん進行してしまい、最悪の場合は抜歯することになってしまいます。
虫歯の治療は、とにかく早い段階で歯科を受診することが大切です。
まずはお気軽にお問い合わせください。