2024.01.10
歯並び・矯正
歯科矯正には、ワイヤー矯正や裏側矯正、マウスピース矯正をはじめ、さまざまな矯正方法があります。
矯正治療を検討している方が自分に合った矯正方法を知るには、それぞれの特徴や違いを理解することが大切です。
また、矯正治療にかかる費用や期間なども方法によって異なります。
この記事では、歯科矯正の種類について、費用・期間の比較やケースごとのおすすめ治療方法を解説します。
Contents
歯科矯正の代表的な治療方法としては、以下の3つがあげられます。
また、上記の3つ以外にもハーフリンガル矯正、コンビネーション矯正、インプラント矯正、外科矯正などの治療方法があります。
それぞれの治療方法ごとに、治療範囲や期間、値段などが異なるため、自分の歯の状態に合った治療方法を選ぶことが大切です。
以下では、それぞれの矯正治療について、具体的な施術方法、メリットとデメリットについて解説します。
ワイヤー矯正は、歯科矯正のなかでももっとも歴史の長い治療方法です。
そのため、経験や知識のある医師が多く、ほとんどの歯科医院で治療を受けられます。
ワイヤー矯正は、歯の表面に金属の矯正器具を取りつける矯正方法です。
ブラケットと呼ばれる矯正器具を歯の表面に取りつけ、ブラケットにワイヤーを通し、動かしたい方向に力をかけて歯を動かします。
歯の表面に矯正器具を取りつけることから、表側矯正とも呼ばれています。
ワイヤー矯正には、以下のようなメリットがあります。
ワイヤー矯正は適応範囲が広く、歯を大きく動かす必要がある場合に適しています。
また、矯正器具を一度取りつけてしまえば、治療が終わるまで取り外さずに済むため、マウスピース矯正のように食事や歯磨きの際に取り外すことが面倒に感じる人におすすめの矯正です。
ワイヤー矯正には、以下のようなデメリットがあります。
ワイヤー矯正は歯の表面に矯正器具を取りつけるため、矯正器具が目立ちやすい点がデメリットです。
しかし、ワイヤー矯正で使われる矯正器具は金属のメタルブラケットだけではありません。
プラスチックやセラミックなどでできている「審美ブラケット」は、透明や白色になっており、歯になじむことからほとんど目立ちません。
ただし、審美ブラケットはメタルブラケットに比べて値段が高く、素材によっては強度が落ちる点に注意が必要です。
裏側矯正は、ワイヤー矯正に比べて、高い技術が必要な治療です。
そのため、扱っている歯科医院の数が少なく、一般的にもそれほどメジャーではありません。
裏側矯正は、歯の裏側にブラケットを取りつける矯正方法です。
歯にブラケットを取りつけたあと、ブラケットにワイヤーを通し、動かしたい方向に力をかけて歯を動かします。
ブラケットを舌側に取りつけるため、舌側矯正とも呼ばれます。
歯の裏側は複雑な形状をしているため、ワイヤー矯正に比べて、歯科医や歯科技工士には高い技術が求められます。
裏側矯正には、以下のようなメリットがあります。
裏側矯正もワイヤー矯正と同様、日常的な取り外しが必要ない点がメリットです。
さらに、裏側矯正では歯で矯正器具が隠れるため、矯正器具が目立たない特徴もあります。
裏側矯正には、以下のようなデメリットがあります。
裏側矯正には、食事の制限や痛みをはじめ、ワイヤー矯正と同じようなデメリットがあります。
なお、治療にかかる費用や期間、適応範囲などの面ではワイヤー矯正に劣る点もデメリットといえるでしょう。
また、矯正器具を取りつけたあと、慣れるまでは発音しづらいともいわれています。
マウスピース矯正は、矯正器具が目立たないことで人気の矯正方法です。
裏側矯正と同様、矯正中であることを目立たせたくない方におすすめです。
マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の矯正器具を使って歯を動かします。
矯正用マウスピースは、一人ひとりの歯型をとって作成し、治療段階に合わせて新しいマウスピースと交換することによって、徐々に歯を動かしていきます。
治療期間中は、食事や歯磨きの時間を除き、マウスピースを装着して生活します。
マウスピース矯正には、以下のようなメリットがあります。
マウスピース矯正のメリットとしては、矯正器具を取り外せる点、矯正器具が目立たない点が大きいです。
矯正器具を取り外せることによって、食事の制限や歯の磨きづらさがなく、矯正中も快適に過ごせます。
また、マウスピース矯正は金属の矯正器具を使わないため、金属アレルギーの方でも安心して治療を受けられます。
マウスピース矯正には、以下のようなデメリットがあります。
マウスピース矯正は、徐々に力をかけておこなう治療のため、歯並びの状態によってはマウスピース矯正ができないことがあります。
また、自由に取り外せるようにはなっていますが、矯正効果を得るには1日あたり20時間以上の装着が必要です。
そのため、マウスピースをつけるのを忘れてしまうと、歯に十分な力がかからずにほとんど治療の効果が得られなくなってしまいます。
矯正治療は、ワイヤー矯正・裏側矯正・マウスピース矯正の3つがメジャーですが、歯科医院によってはその他の矯正方法を扱っているケースもあります。
具体的には、ハーフリンガル矯正・コンビネーション矯正・インプラント矯正・外科矯正などです。
以下では、それぞれの矯正方法について解説します。
ハーフリンガル矯正は、上あご側に裏側矯正、下あご側にワイヤー矯正をする矯正方法です。
裏側矯正とワイヤー矯正を組み合わせることで、矯正器具の目立ちやすさや発音のしづらさなどのデメリットを軽減します。
ワイヤー矯正よりも矯正器具が目立ちづらく、裏側矯正よりも値段が安いため、それぞれのメリットを兼ね備えている点が注目されています。
コンビネーション矯正は、治療の前半は裏側矯正、治療の後半はマウスピース矯正をおこなう矯正方法です。
はじめに裏側矯正で歯を大きく動かし、その後マウスピース矯正で微調整をしていきます。
裏側矯正の違和感を短い期間で抑え、違和感の少ないマウスピース矯正に移行するため、治療による負担を軽減できる点が特徴です。
インプラント矯正は、歯科矯正用のアンカースクリュー(小さなねじ)を用いた矯正方法です。
あごの骨に埋めたアンカースクリューを軸として歯を動かします。
ワイヤー矯正よりも大きな力を加えやすいため、短期間で歯を動かすことができ、ほかの矯正方法では十分な効果が得られないような方にもおすすめです。
外科矯正は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正に加えて、外科手術によりあごの骨を動かして、歯並びを改善する矯正方法です。
主に下あごが小さすぎたり、あごが曲がっていたりと、骨格的な要因により歯並びが悪くなっている場合に用いられます。
歯科矯正を受ける際、どの治療方法にするかと悩む方は少なくありません。
自分に合った矯正方法を選ぶためには、以下のようなポイントから検討するのがおすすめです。
それぞれの矯正方法にかかる費用について、以下の表にまとめました。
ワイヤー矯正 | 全体矯正:60万~130万円部分矯正:30万~60万円 |
裏側矯正 | 全体矯正:100万~170万円部分矯正:40万~70万円 |
マウスピース矯正 | 全体矯正:60万~100万円部分矯正:30万~60万円 |
ハーフリンガル矯正 | 全体矯正:80万~150万円部分矯正:35万~65万円 |
コンビネーション矯正 | 全体矯正:60万~130万円 |
インプラント矯正 | 歯1本あたり2~10万円 |
外科矯正 | 症状や状態によって異なる |
矯正にかかる費用は、どのような方法を選ぶかによって幅があります。
また、歯の状況によっても費用が異なるため、詳しく知りたい方は歯医者で相談してみましょう。
それぞれの矯正方法の治療期間について、以下の表にまとめました。
ワイヤー矯正 | 2年程度 |
裏側矯正 | 3年程度 |
マウスピース矯正 | 1年~2年 |
ハーフリンガル矯正 | 2年半程度 |
コンビネーション矯正 | 2年程度 |
インプラント矯正 | 半年~1年 |
外科矯正 | 3年以上 |
治療期間を比較してみると、大きな力を加えやすいインプラント矯正の治療期間が短いことがわかります。
自分に合った治療方法を探したうえで、治療期間も検討材料の一つにするとよいでしょう。
歯科矯正では、力を加えて歯を動かすため、痛みや違和感が生じる場合が多いです。
とくに、大きな力を加えるワイヤー矯正や裏側矯正は、痛みや違和感に悩む方も少なくありません。
一方、マウスピース矯正のように小さな力で少しずつ歯を動かす方法であれば、比較的痛みや違和感が少ないといわれています。
ワイヤー矯正や裏側矯正をしている間は、矯正器具を調整するために、1ヶ月に1回のペースで通院しなければいけません。
一方、マウスピース矯正の場合、はじめのうちは1ヶ月に1回のペースで通院する必要がありますが、その後は2〜3ヶ月に1回程度の通院ペースになります。
歯科矯正では、歯を動かすためのスペースをつくる目的で抜歯することがあります。
矯正方法を問わず、本来正常な位置に歯が移動するスペースがない場合は抜歯をおこないます。
健康な歯を抜くことを不安に感じる方もいますが、抜歯をしなかった結果、矯正治療に失敗してしまうケースもあるため、抜歯をしないことにもリスクがあります。
さまざまな矯正方法があるなかで、どの方法が自分に合っているのかがわからない方も多いのではないでしょうか。
矯正方法の選び方として、どのような要素を重視するかによって選ぶ方法があります。
以下では、実際に多い患者さんのケースをもとに、おすすめの矯正方法について解説します。
ただし、歯の状態や通院先によって矯正方法の選択肢が制限されるケースもあるため、詳しくは歯医者で相談してみましょう。
矯正中の見た目を重視する場合は、裏側矯正やマウスピース矯正がおすすめです。
裏側矯正であれば笑ったときに矯正器具が見えることはなく、マウスピース矯正も透明なマウスピースを用いることからほとんど目立ちません。
矯正による歯並びやかみ合わせの改善効果を高めたい場合は、ワイヤー矯正がおすすめです。
ワイヤー矯正はもっとも矯正効果の高い方法とされており、歯の位置を大きく動かすことも可能です。
通院回数をできるだけ少なくしたい場合には、マウスピース矯正がおすすめです。
マウスピース矯正は、通院回数がほかの矯正治療と比べて少なく、ブランドによってはほとんど通院が必要ないケースもあります。
矯正治療には、大きく分けて成人治療と小児治療の2種類があり、それぞれ治療の方針や目的が異なります。
以下では大人が受ける成人矯正と、子どもが受ける小児矯正についてそれぞれ解説します。
成人矯正は、現状の骨格にあわせて歯を動かす矯正治療です。
成人の場合、歯並びの土台となるあごの形状が決まっているため、あごの形に合わせるように歯並びを改善します。
そのため、どうしても歯を動かすのが難しい場合には、抜歯をしなければならないケースもあります。
主に歯並びを改善することで、消化器への負担軽減や口腔内の清潔性などのメリットがあります。
小児矯正は、将来的な骨格を予測しながらあごを動かす矯正治療です。
子どものうちはあごの骨が成長段階であることから、歯並びの土台となるあごの形状自体を変えるような治療が可能です。
小児矯正では成長とともに歯並びを整えられるため、永久歯を抜かずに歯を動かしやすいメリットがあります。
歯並びや噛み癖は、子どもの発育に悪影響を及ぼすリスクもあるため、小児矯正によってあごや顔の成長バランスを整えることは非常に重要です。
歯科矯正には、歯全体を矯正する全体矯正と歯の一部を矯正する部分矯正があります。
以下では、全体矯正と部分矯正の違いについて解説します。
全体矯正とは、歯を全体的に動かす矯正治療です。
歯並びを整えるだけでなく、嚙み合わせを改善することもできるため、矯正治療による効果を実感しやすい方法として知られています。
ただし、歯を全体的に動かすため、部分矯正と比べて費用が高くなったり、治療期間が長くなったりするデメリットもあります。
部分矯正とは、歯の一部を動かす矯正治療です。
全体矯正と比べて費用が安く、短い期間で治療できる点がメリットです。
しかし、歯並びの状態によっては部分矯正ができないケースがあるほか、矯正効果を受けられるのは一部のみであるため、全体矯正と比べて仕上がりが劣る可能性があります。
部分矯正でも十分な効果が得られるかどうかは個人差があるため、興味がある方は歯科医に相談してみましょう。
歯並びは顔の印象を大きく左右するため、歯列矯正によって口元を美しくしたいと考える方は多くいます。
また、矯正には歯並びを整えることで日頃のケアが行き届きやすい口内環境をつくり、虫歯や歯周病のリスクを軽減する役割もあります。
しかし、歯列矯正にもワイヤー矯正や裏側矯正をはじめ、さまざまな種類があるうえ、それぞれメリットやデメリット、かかる費用などが異なります。
そのため、歯の状態や予算に応じて、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。
当院では、小児から大人まで豊富な矯正治療の実績をもとに、一人ひとりの患者さんに合った治療方法を提案させていただいております。
歯列矯正に関して詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。