2023.10.10
歯並び・矯正
歯の矯正を検討する際、気になる点の一つが矯正にかかる期間ではないでしょうか。
何歳までに矯正を終わらせたいと希望する方も多く、矯正にかかる期間を把握したうえで、いつごろから矯正治療を始めるかを検討するケースもあるはずです。
この記事では、歯の矯正にかかる期間、器具の種類による期間の違い、矯正を早く終わらせるポイントについて解説します。
Contents
歯の矯正には、だいたい3年〜4年半程度の期間がかかります。
上記の期間は、矯正装置を使用して歯を動かす「矯正期間」と動かした歯を保定する「保定期間」を合わせた期間です。
以下では、矯正期間と保定期間について解説します。
矯正期間とは、歯の矯正治療のうち、矯正装置を使用して歯を動かすのにかかる期間のことです。
歯の矯正には、歯全体を矯正する全体矯正と、前歯のみや特定の部位だけを矯正する部分矯正があり、全体矯正の場合は1~3年程度、部分矯正の場合は2か月~1年半程度の期間がかかります。
ただし、これらの期間はあくまでも目安です。
矯正期間は、もともとの歯並び、矯正を始める年齢、使用する矯正装置などによって異なるため、実際にどれくらいの期間がかかるかは歯科医に相談してみましょう。
保定期間とは、矯正期間で歯を動かしたあと、動かした歯を安定させるためにリテーナーと呼ばれる保定装置を使用して、歯を保定させる期間のことです。
保定期間の目安は、一般的に2年程度とされています。
矯正期間終了後、何もせず歯を放置すると、動かした歯がもとの位置に戻ろうとする「後戻り」が起こります。
後戻りを防ぐうえでは、保定期間をしっかりとって矯正後の歯を安定させてあげる必要があります。
歯の矯正に3年以上もの時間がかかると聞くと、予想以上に長い時間がかかると感じる方も多いかもしれません。
しかし、歯を動かすにはゆっくりと緩やかに力をかける必要があるため、矯正期間が長くなってしまうのです。
歯に力をかけると、力をかけた部分の歯を支える骨である歯槽骨が破壊され、吸収されることによって歯が動きます。
歯が動くスピードは1か月に1mm程度であるため、歯の矯正に数年の期間がかかってしまうのは仕方がないことです。
また、歯に強い力をかければ、さらに早い期間で歯を動かせるようにも思えますが、それはできません。
歯に無理矢理強い力をかけてしまうと、歯ぐきが下がってしまったり、歯ぐきの神経が壊れてしまったりするリスクがあるためです。
歯の矯正に用いる器具にはいくつかの種類があり、治療方法によって使う矯正器具が異なります。
以下では、器具による平均矯正期間の違いについて解説します。
ワイヤー矯正では、歯の表面にワイヤー型の矯正器具をつけて歯を動かします。
歯列矯正の器具のなかでもメジャーなタイプであり、多くの方は歯の矯正と聞くとワイヤー矯正をイメージするはずです。
ワイヤー矯正は大きく歯を動かす際に適した方法となっており、矯正期間の目安は1〜3年程度です。
裏側矯正では、歯の裏側にブラケットやワイヤーなどの器具をつけて歯を動かします。
歯の裏側に矯正装置をつけるため、矯正器具を目立たせたくない方におすすめです。
裏側矯正にかかる期間の目安は1〜3年程度です。
マウスピース矯正では、取り外しができるマウスピースを歯に装着して歯を動かします。
ずっとつけているわけではなく、食事や歯磨きの際にはマウスピースをはずすことが可能です。
マウスピース矯正にかかる期間の目安は2ヶ月〜3年程度となっており、矯正範囲によって治療期間には幅があります。
前述のとおり、歯列矯正にかかる期間は人によって個人差があります。
以下では、矯正が早く終わる人の特徴について解説します。
まず、どのような器具を用いるかによって矯正にかかる期間が異なります。
ただし、矯正方法は歯並びの状態や治療の範囲によって決まるため、誰でも早く終わる方法を選べるわけではありません。
また、短期間で終わる治療方法を選んだとしても、通院やケアを怠ってしまうと治療期間が延びてしまうこともあります。
歯を矯正する際、虫歯や歯周病がある場合には治療を済ませてから矯正治療に入ります。
また、矯正治療中に虫歯や歯周病になると、矯正治療を一旦中止して虫歯や歯周病の治療をする必要があります。
そのため、歯列矯正をする方は歯磨きやメンテナンスをしっかりとおこない、矯正期間が長くなることを防ぎましょう。
年齢が若いと歯周組織の新陳代謝が活発であるため、歯が動きやすく、矯正にかかる期間が短くなる傾向があります。
さらに小中学生のうちであれば顎骨が成長段階であることから、矯正による効果を受けつつ、顎の形が整いやすいともいえます。
ただし、かならずしも早い方がよいというわけではなく、成長発育に問題がない場合には永久歯が生えそろってから治療すべきケースもあります。
矯正治療の適切なタイミングを判断するのは難しいため、まずは歯医者で相談してみることをおすすめします。
歯の矯正をする際、歯を動かすスペースがない場合には、抜歯をしてスペースをつくることがあります。
また、抜歯を行う場合は歯を動かす距離が長くなる可能性があるため、矯正期間が長くなりやすいです。
そのため、抜歯をせずに矯正ができる方は、抜歯をする方よりも治療を早く終えられます。
矯正が早く終わる人の特徴を解説しましたが、矯正治療の期間を早めるための技術や器具もあります。
以下では、矯正治療の期間を早める方法について解説します。
歯を削ってセラミックの被せものを装着する補綴治療では、歯を動かすことなく歯並びを整えられます。
また、歯を削る治療と仮歯を入れる治療は同日におこなうため、治療当日に歯並びを改善できる点もメリットです。
しかし、セラミック矯正は健康な歯を削ったり、場合によっては歯の神経の治療をしたりしなければいけません。
そのため、歯の健康を阻害するリスクがあることを覚えておきましょう。
セルフライゲーションブラケットは、ワイヤー矯正で歯につけるブラケットの一つです。
ブラケットにワイヤーを縛り付ける必要がないため、器具とワイヤーの摩擦が少なく、持続的に矯正力をはたらかせられる点が特徴です。
場合によっては、治療期間や通院回数を減らせる可能性があります。
アンカースクリューは、人体に影響のないねじを骨に打ち込み、ねじを矯正の固定源として歯を動かす矯正方法です。
これまでは治療が難しかった症例でも、アンカースクリューによって矯正が可能になったケースもあり、新たな矯正方法として注目されています。
アンカースクリューを使用すると、歯の矯正力を高められるため、矯正治療の期間を短くできます。
オルソパルスは、マウスピース矯正専用の医療機器です。
1日10分間、近赤外線の光を口の中に当て、歯の周囲の組織を活性化させて歯の動くスピードを早めます。
オルソパルスを使用したときと使用していないときを比べると、矯正期間を最大67%も短縮することが可能だといわれています。
コルチトミーは、歯槽骨皮脂骨切除術とも呼ばれ、ワイヤー矯正に追加して行う外科手術です。
矯正する歯の骨に切れ目を入れてワイヤー矯正のスピードを速めます。
歯の土台となる骨の表面が回復するタイミングと、歯を動かすタイミングを合わせることによって、矯正治療の期間を短くすることが可能です。
歯の矯正を早く終えるためには、矯正期間を早めることも大切ですが、矯正期間を延ばさないことの方が重要です。
以下では、矯正期間を延ばさないための注意点について解説します。
矯正期間中は、普段よりも丁寧に歯磨きをして歯垢や歯石を取り除きましょう。
虫歯や歯周病になると、矯正を一時中断して虫歯や歯周病の治療をする必要があるため、矯正期間が延びてしまいます。
とくに、ワイヤー矯正中はワイヤーやブラケット部分が磨きにくいため、歯ブラシをしっかり当ててケアしましょう。
矯正器具は、歯科医の指示どおりに正しくつけましょう。
正しいつけ方で器具をつけないと、矯正力がうまくはたらかず、期間が延びる原因になります。
とくにマウスピース矯正のように、自分で器具をつける必要がある場合は、自宅でも正しくセットできるか確認しておきましょう。
矯正治療中は、月に一度のペースで歯科医院に通います。
通院の期間が空いてしまうと正しく矯正を進められないため、決められたペースで通院することが重要です。
また、自宅で器具のつけはずしをおこなうマウスピース矯正であっても、矯正の進行度に合わせてマウスピースを交換するため、決められたペースで通院しないと治療期間が延びてしまいます。
歯並びは顔の印象を大きく左右するため、歯列矯正によって口元を美しくしたいと考える方は多くいます。
また、矯正には歯並びを整えることで日頃のケアが行き届きやすい口内環境をつくり、虫歯や歯周病のリスクを軽減する役割もあります。
しかし、歯列矯正にもワイヤー矯正や裏側矯正をはじめ、さまざまな種類があるうえ、それぞれメリットやデメリット、かかる費用などが異なります。
そのため、歯の状態や予算に応じて、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。
当院では、小児から大人まで豊富な矯正治療の実績をもとに、一人ひとりの患者さんに合った治療方法を提案させていただいております。
歯列矯正に関して詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。