2024.01.30
歯並び・矯正
矯正治療を検討している方のなかには、前歯だけや八重歯を治したいなど、部分的な矯正を考えている方もいるはずです。
部分矯正は、治療にかかる期間や費用が抑えられるため、メリットの多い矯正方法です。
一方、対応できるケースが限られるほか、後戻りなどのリスクもあることから、部分矯正を検討する際にはよく理解したうえで選択すべきです。
この記事では、部分矯正の特徴やメリット、デメリット、対応できるケースなどについて解説します。
Contents
部分矯正とは、歯の一部を矯正して、歯並びや噛み合わせを整える治療のことです。
通常の歯科矯正では、歯を全体的に矯正しますが、部分矯正では、歯並びや嚙み合わせが気になる部分のみを矯正します。
たとえば、前歯の歯並びのみを矯正したい場合には、前歯の4本だけを矯正するようなことも可能です。
ただし、歯並びの状態によっては、部分矯正ができないケースもあるため、歯医者に相談のうえで矯正方法を決めることが大切です。
部分矯正と全体矯正には、以下のような違いがあります。
部分矯正は、矯正する歯の本数が少ないため、全体矯正と比べて治療期間が短く、費用も安い傾向があります。
しかし、部分矯正は前歯のみの矯正に用いられることが多く、前歯以外も矯正する場合には全体矯正の方が向いているでしょう。
部分矯正には、以下の3つのメリットがあります。
続いて、それぞれのメリットについて見ていきましょう。
部分矯正は、全体矯正と比べて矯正する歯の本数が少なく、器具の作製や調整にかかる工数も減る分、費用を抑えられます。
そのため、あまりお金をかけずに一部の歯並びだけを治したい方にはおすすめです。
全体矯正の矯正期間が約2〜3年であるのに対して、部分矯正は半年〜1年半ほどと、半分くらいの期間で治療を終えられる可能性があります。
器具をつけている間は、日頃のケアや食事にも気を遣う必要があるため、矯正期間が短くなる点は治療のストレスを減らすうえでも大きなメリットです。
前述のとおり、部分矯正では器具によるストレスが小さく、治療の負担が少ないともいえるでしょう。
また、矯正治療では痛みが生じることもありますが、全体矯正に比べて部分矯正の方が器具による圧力を受ける部分が少ないため、痛みの程度や範囲も小さくなることが多いです。
部分矯正には、さまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。
続いて、それぞれのデメリットについて解説します。
部分矯正は、歯を動かす範囲が狭いため、重度な症例には向いていません。
たとえば、全体的に歯並びがズレている場合や、嚙み合わせに問題がある場合には、部分矯正では対応できません。
また、部分矯正は歯を動かせる方向にも制限があるため、対応できない症例が多いです。
歯の矯正治療では、歯を動かすスペースを確保するために、抜歯をするケースがあります。
ただし、部分矯正では抜歯をするのではなく、歯の表面を削ってスペースをつくることが多いです。
抜歯と比べて健康への影響は少ないですが、歯を削りたくない方は、事前に確認しておくとよいでしょう。
矯正では、器具による圧力をかけて、本来あった場所から歯を動かします。
しかし、矯正治療が終わると歯がもとの位置に戻ろうとすることがあり、これが「後戻り」と呼ばれる現象です。
部分矯正では一部の歯のみを動かすことから、後戻りが発生しやすい傾向があります。
部分矯正の費用相場は、約30~60万円です。
たとえば、ワイヤー矯正で全体矯正をする際の費用が約70~100万円であることを考えると、およそ半分の費用で矯正治療が受けられるといえるでしょう。
部分矯正にかかる期間の目安は、数か月から1年程度です。
全体矯正にかかる期間の目安が1〜2年半程度のため、半分くらいの期間で矯正治療を終えられるでしょう。
前述のとおり、部分矯正で対応できるケースにはいくつかの制限があります。
具体的には、以下のような事例であれば、部分矯正で対応することが可能です。
次に、それぞれの状態について解説します。
歯が軽くガタついた状態を「乱杭歯」と呼び、乱杭歯に対しては部分矯正が有効です。
全体矯正でないと対応できないケースもありますが、軽度の乱杭歯であれば部分矯正で十分に対応できます。
たとえば八重歯も乱杭歯の一種であるため、気になる方は部分矯正で治療できる可能性が高いでしょう。
軽度の出っ歯の場合にも部分矯正による対応が可能です。
具体的には、隣の歯よりもすこし段差がある方、歯がすこし上向きに生えている方などは部分矯正でも対応できるでしょう。
ただし、あごの骨格が原因となっている出っ歯は、部分矯正では思うような効果が得られない可能性が高い点に注意しましょう。
部分矯正で対応できる例として、歯と歯の間に隙間があるすきっ歯もあげられます。
たとえば、前歯の間の隙間を埋めたいケースなどは部分矯正が適しています。
しかし、歯の隙間を部分矯正で埋めると、埋めた隙間の分だけほかの箇所に隙間ができてしまう点に注意すべきです。
全体的な歯並びや嚙み合わせに問題はなく、一部分だけ歯並びに問題がある場合には、部分矯正が向いているケースがあります。
たとえば、以下のような場合には、部分矯正での対応が可能です。
部分矯正で対応できない事例として、以下のようなケースがあげられます。
続いて、それぞれのケースについて解説します。
部分矯正では一部の歯を矯正するため、嚙み合わせの改善は難しいです。
そのため、歯並びだけでなく、噛み合わせまで改善する必要があるときには、全体矯正で治療を行います。
骨格の問題が原因となっている場合には、部分矯正による治療が困難です。
全体矯正を選択するとしても、ワイヤーによる矯正が難しければ、外科治療が必要になるケースがあります。
矯正治療では、歯を動かして歯並びを整えるため、歯を動かす分のスペースが必要です。
つまり、歯を動かすスペースが不足している状態では、矯正治療ができません。
部分矯正では、基本的に抜歯によってスペースをつくることはしないため、もともと歯を動かすスペースが不足している状態では難しいでしょう。
歯並びは顔の印象を大きく左右するため、歯列矯正によって口元を美しくしたいと考える方は多くいます。
また、矯正には歯並びを整えることで日頃のケアが行き届きやすい口内環境をつくり、虫歯や歯周病のリスクを軽減する役割もあります。
しかし、歯列矯正にもワイヤー矯正や裏側矯正をはじめ、さまざまな種類があるうえ、それぞれメリットやデメリット、かかる費用などが異なります。
そのため、歯の状態や予算に応じて、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。
当院では、小児から大人まで豊富な矯正治療の実績をもとに、一人ひとりの患者さんに合った治療方法を提案させていただいております。
歯列矯正に関して詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。