2024.05.05
歯並び・矯正
歯並びの矯正には、見た目の印象をよくするだけでなく、口腔内の衛生を保って虫歯や歯周病を予防する効果などがあります。
いずれも魅力的なメリットですが、なかには矯正がおすすめできないケースもあり、矯正をしたことを後悔してしまう方がいるのも事実です。
そのため、矯正治療を検討するうえでは、治療方法ごとのメリットやデメリットなどを把握しておくとよいでしょう。
この記事では、歯並びを矯正する方法、大人と子どもの矯正の違い、矯正にかかる費用や期間について解説します。
Contents
歯並びの矯正とは、矯正器具を用いて歯にすこしずつ力を加え、歯並びを整える治療のことです。
矯正で歯並びを整えると、口元の印象がよくなるだけでなく、噛み合わせの改善にもつながります。
ただし、歯並びの矯正治療には、さまざまな方法があるため、それぞれの矯正方法について詳しく見ていきましょう。
まず、歯並びの矯正には、以下のような方法があります。
続いて、それぞれの矯正方法について解説します。
ワイヤー矯正とは、ワイヤーとブラケットと呼ばれる矯正器具を用いて歯並びを整える矯正治療です。
歯科矯正と聞くと、歯に金属のワイヤーを装着しているイメージの方も多いのではないでしょうか。
ワイヤー矯正は、対応症例が多く、もっとも一般的な矯正方法です。
矯正器具を歯の表側に装着する「表側矯正」と、矯正器具を歯の裏側に装着する「裏側矯正」があり、ワイヤーを目立たせたくない方には裏側矯正がおすすめです。
ただし、表側矯正よりも費用が高くなりやすいデメリットがあります。
マウスピース矯正とは、透明なマウスピース型の矯正器具を用いて歯並びを整える矯正方法です。
矯正器具が目立たず、いつでも矯正器具の取り外しができる点が特徴です。
ただし、歯並びが大きくズレている場合には、マウスピース矯正では対応できない点に注意しましょう。
ハーフリンガル矯正とは、上の歯を表側矯正、下の歯を裏側矯正で治療する矯正方法です。
表側矯正よりも矯正器具が目立たず、裏側矯正よりも費用を抑えられるメリットがあります。
しかし、下の歯が裏側矯正で対応できない場合には、ハーフリンガル矯正を適用できないことから、表側矯正よりも適用症例は少なくなります。
コンビネーション矯正とは、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を組み合わせて治療する矯正方法です。
まず、ワイヤー矯正で歯を動かし、マウスピース矯正が可能な状態になったら、マウスピース矯正に切り替えて治療を進めます。
マウスピース矯正では対応できない症例にも対応できるメリットがありますが、マウスピース矯正よりも費用が高くなりやすいデメリットがあります。
外科矯正とは、骨格や歯周組織に問題がある場合に、外科手術を用いて治療する矯正方法です。
外科矯正は、ほかの矯正方法では対応できない場合に用いられます。
また、外科矯正後にワイヤー矯正をおこなうといったように、ほかの矯正方法と組み合わせることも可能です。
外科矯正は保険が適用されるケースもありますが、ほかの矯正方法よりも費用が高くなりやすいです。
インプラント矯正とは、アンカースクリューと呼ばれる矯正用の小さなネジを顎の骨に埋め、それを固定源としてワイヤーを用いて歯を移動させる矯正方法です。
一般的なワイヤー矯正では歯を固定源としますが、かけられる力には制限があります。
一方、インプラント矯正ではネジを固定源とすることから、一般的なワイヤー矯正よりも大きな力をかけられます。
歯並びを矯正すべき理由としては、コンプレックスの解消と、口腔内の衛生があげられます。
歯並びを矯正すると、口元の印象がよくなってコンプレックスの解消につながるほか、歯と歯の間に汚れがたまりにくくなるメリットもあります。
口腔内に汚れが残っていると、口臭や虫歯、歯周病などの原因となりますが、歯並びを矯正することによって予防が可能です。
子どもが歯列矯正をする場合、顎の発育が途上であるため、顎骨が正常に発育するように促す手法をとります。
つまり、子どもの矯正においては、骨格の問題による歯並びのズレが生じるのを予防することが主な目的となります。
一方、大人の場合には骨格の成長は完了しているため、あくまでも歯並びや噛み合わせを整えるために矯正治療がおこなわれます。
以下では、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。
成人矯正には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
<メリット>
<デメリット>
小児矯正には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
<メリット>
<デメリット>
歯並びの矯正をした方がよいケースとして、以下のような場合があげられます。
上記のような状態で、日常生活に支障がある場合のことを不正咬合と呼びます。
噛み合わせが合っていないと顎関節症になりやすいため、歯並びの矯正をした方がよいでしょう。
また、歯が正しい向きに生えていない場合には、歯と歯の隙間が広がり、汚れがたまりやすくなります。
虫歯や歯周病のリスクも高くなることから、矯正によってケアしやすい状態をつくることがおすすめです。
歯並びの矯正をおすすめできないケースとして、以下のような場合があげられます。
顎関節症や虫歯、歯周病がかなり進行している方は、まずは治療をしてから、矯正を始めなければいけません。
また、遠方に引越す予定がある方は、引越し先の歯医者で矯正を検討するのも一つの手です。
矯正中は、定期的に通院して状況を確認する必要がありますが、引越しによって通うことができなくなると、別の歯医者に治療を引き継いでもらう手間がかかってしまいます。
歯並びの矯正費用の相場は、約60~150万円ほどです。
ただし、矯正方法や歯並びの状態によっても費用が異なるため、一度歯医者で相談して見積もりをとってみるとよいでしょう。
歯の矯正には、矯正器具を用いて歯を動かす「矯正期間」と動かした歯を保定する「保定期間」があります。
矯正期間と保定期間を合わせると、約3年〜4年半ほどの期間となります。
ただし、費用と同様、矯正方法や歯並びの状態によって変動します。
最後に、歯並びの矯正に関するよくある質問と回答について見ていきましょう。
歯並びの矯正には、基本的に保険が適用されません。
しかし、以下の条件を満たす場合には、保険が適用される場合があります。
①「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
②前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
③顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療
引用:日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」
保険が適用されるかどうかは、自己判断が難しいため、歯医者に相談しましょう。
大人の矯正はやめた方がいいと言われることもありますが、そのようなことはありません。
たしかに、大人の矯正にはデメリットやリスクがありますが、うまくデメリットやリスクを回避しつつ治療をすれば、見た目の印象がよくなるうえ、日頃のケアもしやすくなります。
歯並びは顔の印象を大きく左右するため、歯列矯正によって口元を美しくしたいと考える方は多くいます。
また、矯正には歯並びを整えることで日頃のケアが行き届きやすい口内環境をつくり、虫歯や歯周病のリスクを軽減する役割もあります。
しかし、歯列矯正にもワイヤー矯正や裏側矯正をはじめ、さまざまな種類があるうえ、それぞれメリットやデメリット、かかる費用などが異なります。
そのため、歯の状態や予算に応じて、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。
当院では、小児から大人まで豊富な矯正治療の実績をもとに、一人ひとりの患者さんに合った治療方法を提案させていただいております。
歯列矯正に関して詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。