2024.01.20
虫歯
「そろそろ寝る時間なのに、歯がズキズキする…」
「明日も朝が早いのに痛くて眠れない…」
想像するだけでもとても嫌なシチュエーションですが、夜間になって歯が痛み出すことは意外に少なくありません。
正しい行動を取ることで、一時的に痛みを和らげることもできます。
自分や大切な家族のいざという時のために、正しい対処を知っておくと安心でしょう。
本記事では、夜に歯の痛みが生じる主な原因とその対処法を紹介します。
また、痛みが生じた場合に控えたい行動も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
まずは、歯の痛みが生じる仕組みを知っておきましょう。
原因は主に4つあります。
上記からわかるように、炎症による痛みが大半を占めています。
歯の内部には、多くの神経と血管が存在しており、これを「歯髄(しずい)」と呼びます。
歯髄はエナメル質や象牙質に守られているため、通常は痛みを発生しません。
しかし、虫歯が歯を溶かして、内部にある歯髄まで到達すると、ズキズキとした強い痛みを生じます。
虫歯菌が血管に炎症を起こし、血流を増加させて神経を圧迫するためです。
これを「歯髄炎」と呼びます。
歯と歯ぐきの間には「歯周ポケット」と呼ばれる溝があります。
この溝に歯垢が蓄積すると、口腔内の環境が悪化して歯周病菌が増え、歯ぐきなどの歯を支えていた組織に感染し炎症を引き起こします。
これが「歯周病」と呼ばれる病気です。
初期段階では歯ぐきの腫れや痛みといった症状で済みますが、そのままにしておくと、歯を支える骨にまで炎症が広がるので注意が必要です。
長い間、虫歯を治療せずに放置したり、過去に歯の神経を抜いて治療が適切でなかったりすると、根っこの先に炎症が起きて膿がたまることがあります。
これは「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」と呼ばれる病気です。
主な原因は虫歯菌による細菌感染で、虫歯菌が歯の深い部分へ進行することにより、発症します。
神経が死んでしまった歯に対して症状が現れるため、歯自体の痛みはあまりありません。
歯が浮いたような変な違和感を感じたら、早めに受診しましょう。
症状が進行すると、歯ぐきの周囲やあごの骨に痛みが生じることがあります。
親知らずは、永久歯の中で最後に生えてくる、前歯から数えて8番目の奥歯です。
あごの成長が終わる頃に生え始めることが多いので、口腔内に十分なスペースがないと横向きや斜めに生えてしまいます。
親知らずの付近は歯ブラシが届きにくく、食べ物の残りや細菌が溜まって不衛生な状態が続くと、歯ぐきに炎症が起きます。
これは「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」という親知らず特有の炎症です。
症状が進むと、あごが大きく腫れたり、口を開けづらくなったりすることもあります。
夜に歯の痛みが強くなる理由としては、以下の3つが考えられます。
普段の癖や生活習慣が原因で、歯の痛みが強くなることもあるため、日々の生活から見直すことが大切です。
歯ぎしりや食いしばりは、就寝中に無意識におこなっていることもあり、ストレスを抱えている人ほど、歯ぎしりや食いしばりをしやすい傾向にあります。
歯に大きな負担が加わることで、歯を支える歯ぐきの周囲に炎症を起こします。
顎関節などに損傷を引き起こすこともあり、これを「咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)」と呼びます。
虫歯の痛みとは異なり、夜間に瞬間的に痛みを感じるのが特徴です。
夜に入浴や飲酒をしたり、横になって一休みしたりすると、頭部への血行が日中よりもよくなります。
その結果、流れる血液の量が増えるので、歯や歯ぐきに炎症が起きていると、痛みの原因となることがあります。
血流が増えると免疫細胞や栄養分が多く運ばれ、炎症の修復を促しますが、同時に炎症症状の増強にもつながり、痛みや腫れが増すためです。
私たちの体に必要な心拍や血圧、体温などを調整してくれるのが「自律神経」です。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、日中は交感神経が優位に働き、活動的な状態を保ちます。
一方、夜やリラックスしたときに優位になるのが副交感神経です。
副交感神経が優位になると、心拍数は下がり、血管は拡張して血流が増加しますが、その際に血管拡張によって神経が圧迫され、歯の痛みの原因となります。
歯の痛みで寝られない場合は、以下のような対処法があります。
ただし、気をつけなければならないのは、これらはあくまでも応急処置であるということです。
なるべく早めに歯科医院を受診しましょう。
歯に痛みがある場合は、患部を冷やすと痛みが和らぐ傾向があります。
冷やすことで血管が収縮し、炎症部位への血流が抑えられるためです。
患部を冷やす際は、袋に入れた氷や保冷剤などをタオルでくるんで、優しく冷やすようにしましょう。
患部に直接氷をあてて急激に冷やすと、皮膚や歯のまわりの組織へダメージを与えてしまう可能性もあるため、ほほの外側から冷やすとよいでしょう。
痛みを和らげるうえで、口の中を清潔に保っておくことは大切です。
まずはうがいをして、口腔内の食べ物の残留物や細菌を取り除きましょう。
歯や歯ぐきの痛みの原因となる刺激や細菌を取り除くことで、痛みを和らげられるかもしれません。
また、殺菌作用のあるうがい薬も炎症を鎮める効果が期待できます。
ただし、すでに発症してしまった虫歯による痛みには効果がないため、普段から適切に歯磨きすることで、炎症や感染のリスクを予防するようにしましょう。
虫歯の痛みや歯ぐきの炎症には痛み止めの服用も有効です。
市販のものであれば、効能の欄に「歯痛」「歯の痛み」と記載されているかを確認してください。
また、服用の際は、用量・用法を必ず守って服用することも重要です。
薬局で購入される場合は、事前に薬剤師さんに飲み方を確認しておきましょう。
歯の痛みで我慢ができないときや、自分で判断するのが不安なこともあるでしょう。
そんなときは夜間救急外来を受診するのも一つの手段です。
夜間救急外来は、通常の診療時間外にも患者を診察や治療する施設であり、痛みの強さや症状の急性度に応じて即時の対応が可能です。
深刻な歯の問題に直面した場合は、迷わず受診しましょう。
すぐに対処できる方法として、痛みに効くツボを押してみるという手段があります。
歯の痛みが気になる方や、痛み止めが手元に無い方は、一度試してみるのもよいかもしれません。
ここでは、3つのツボを紹介します。
手の甲側にあり、親指と人差し指の付け根の間に位置するツボです。
ちょうど、親指の骨と人差し指の骨が合流したところから、人差し指へ向かって押していき、痛みを感じるくぼみが合谷(ごうこく)です。
血行の促進や痛みを伝える神経活動の鎮静化や、リラックス効果をもたらすツボとしても知られています。
気持ちのよい痛さ加減で、親指で円を描くように刺激しましょう。
手のひら側にあり、中指と薬指の付け根の真ん中に位置するツボです。
虫歯や歯周病による痛みの緩和に期待できます。
やや強めに押したり、揉んだりするのを、左右交互に何度か繰り返しましょう。
エラより少し頬に寄ったところに位置し、食いしばった時に皮膚が盛り上がる部分です。
歯の痛みだけでなく、顔の神経痛やこわばりの改善も見込めます。
人差し指や中指を使って数秒間押し続けた後、ゆっくりと離す方法で刺激しましょう。
顔のリンパの流れを良くする効果もあるので、フェイスラインのむくみやたるみの防止も期待できます。
夜に歯の痛みが生じた場合に、以下の3つの行為は避けましょう。
上記のような行為をすると、症状を悪化させてしまう可能性があります。
入浴・飲酒・運動など血行を促進させる行為をすると、歯のや歯ぐきの痛みが強くなる可能性が高まります。
熱い飲食物を摂取して患部を温めるような行為も避けましょう。
血流が増えることで、炎症や感染が存在する歯や歯周組織へ免疫細胞や栄養分が多く運ばれると、神経が圧迫されて痛みや腫れを感じやすくなります。
歯や歯ぐきが痛いからと言って、患部を押したり、いじったりするのはやめましょう。
どんな状態なのかを触って確かめたくなることもあるかもしれませんが、触るのは避けるべきです。
患部を触ると痛みが増したり、症状が悪化したりする可能性があるほか、患部に雑菌が侵入するリスクもある点に注意が必要です。
万が一、患部付近に詰まった食ベカスなどを取る場合は、強く刺激しないようにしましょう。
歯や歯ぐきが痛いときにタバコを吸うのはやめましょう。
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素などの有害物質は、血管を収縮させ、腫れや痛みなど炎症症状の回復を遅らせます。
また、口内の唾液量が減少してしまうことで、細菌の増殖につながるリスクもあります。
たばこを吸って気を紛らわせたくなるかもしれませんが、ぐっと我慢して禁煙するようにしましょう。
虫歯かもしれないと思いつつ、なかなか歯医者に行けていない方も多いのではないでしょうか。
自覚症状が表れる前に早期発見するのがベストではありますが、歯科を受診する方の多くは痛みが表れていることがほとんどです。
そのため、虫歯に痛みがあっても手遅れということはまったくありません。
痛みが出て間もない時期であれば、それほど進行しておらず、すぐに治療を済ませられるケースがほとんどです。
一方、痛みを放置しておくとどんどん進行してしまい、最悪の場合は抜歯することになってしまいます。
虫歯の治療は、とにかく早い段階で歯科を受診することが大切です。
まずはお気軽にお問い合わせください。