2024.01.10
歯並び・矯正
出っ歯やすきっ歯をはじめ、前歯の歯並びに悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は前歯の歯並びだけを整える矯正治療もあり、部分矯正のうちの一つとして対応可能です。
ただし、骨格に問題がある場合や、歯を動かすスペースがない場合など、前歯の歯並びだけを治すとしても、全体矯正が必要となるケースもあることは知っておきましょう。
この記事では、前歯だけを矯正する方法、部分矯正ができるケースとできないケース、矯正にかかる費用や期間について解説します。
Contents
前歯だけの部分矯正とは、出っ歯やすきっ歯をはじめ、前歯の歯並びだけに問題がある場合に部分的に矯正をする治療です。
しかし、前歯の歯並びだけを治すとしても、歯を動かすスペースがないときには前歯以外の歯も動かさなければならず、全体矯正での治療となることもあります。
全体矯正とは、歯列全体を矯正し、歯並びや嚙み合わせを改善する治療方法です。
全体矯正は、歯全体の噛み合わせを改善したい場合や、歯を大きく動かす必要がある場合に向いています。
また、前歯のみの部分矯正と比べ、全体矯正は対応症例が多く、部分矯正で対応できないときには全体矯正の治療となります。
ただし、部分矯正であれば矯正器具を装着する範囲が狭いため、全体矯正と比べて費用が抑えられるほか、矯正期間が短いなどの特徴があります。
前歯だけの矯正には、以下のようなメリットがあります。
上記のように、前歯だけの矯正では、歯列矯正の負担を減らしながら治療できる点が特徴です。
前歯だけの矯正には、メリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。
部分矯正では、歯全体の噛み合わせを改善することができず、あくまでも見た目をきれいにすることが目的とされます。
また、対応できる症例が限られるため、部分矯正がそもそもできないというケースもあるでしょう。
前述のとおり、前歯だけの部分矯正は症例が限られるため、どのようなケースであれば部分矯正で対応できるのかを知っておくとよいでしょう。
具体的には、以下のような方には前歯だけの部分矯正がおすすめです。
続いて、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
乱杭歯とは、歯の大きさやあごの大きさの影響によって歯並びがガタついている状態です。
前歯がすこし前後にズレている場合や、前歯がすこし重なっている場合など、軽度の乱杭歯であれば、前歯だけの部分矯正で治療できる可能性が高いでしょう。
軽度の出っ歯とは、以下のような状態の出っ歯を指します。
上記のような状態であれば、前歯だけの部分矯正で対応できる可能性があります。
一方、重度の出っ歯には部分矯正では対応できないため、全体矯正や外科矯正などを検討する必要があるでしょう。
一度矯正した歯では、矯正後に歯がもとの位置に戻ろうとする「後戻り」が起こることがあります。
矯正後には後戻りが起きないように、リテーナーと呼ばれる器具で歯を固定させますが、しっかりと保定ができていなければ、後戻りが起こってしまいます。
後戻りしてしまった歯は、前歯のみの部分矯正で対応できる場合があるため、歯医者に相談することをおすすめします。
前歯の間に隙間があるすきっ歯の状態も、前歯だけの部分矯正で改善できる可能性があります。
ただし、隙間が大きい場合には、部分矯正では対応できないこともある点に注意しましょう。
前歯の一部だけが傾いていたり、ねじれていたりする場合も、部分矯正で改善できる可能性があります。
ただし、傾きやねじれの程度によって対応できるかどうかは異なるため、まずは歯医者でシミュレーションをする必要があります。
オープンバイトとは、口を閉じた状態で、上下の前歯の間に隙間があることを指します。
上記の状態で、オープンバイトが気になる場合には、歯医者に前歯だけの部分矯正ができないか相談してみましょう。
前歯だけの矯正ができない例として、以下のようなケースがあります。
続いて、それぞれのケースについて解説します。
抜歯が必要となる場合、前歯だけの部分矯正では対応できません。
矯正治療においては、歯を動かすためのスペースがない場合や、歯の重なりが大きい場合に抜歯をおこないますが、そのようなケースでは部分矯正による治療が難しいためです。
部分矯正では、嚙み合わせの改善はほとんど見込めません。
そのため、噛み合わせの異常が重度の場合には、前歯だけの部分矯正では対応できません。
前歯のみの部分矯正では、骨格の問題を解決できません。
そのため、骨格自体に問題がある場合には、全体矯正がおこなわれますが、ときには外科手術を伴う外科矯正となることもあります。
前歯だけを矯正する場合には、以下の矯正方法が用いられます。
次に、それぞれの方法について解説します。
マウスピース矯正とは、透明なマウスピース型の矯正器具を用いて歯を動かす矯正方法です。
透明な矯正器具を使うため、矯正中に矯正器具が目立たないメリットがあります。
しかし、一般的なワイヤー矯正と比較すると、適応できる症例が少ない点がデメリットです。
表側矯正とは、ワイヤーとブラケットと呼ばれる矯正器具を歯の表側に装着し、歯を動かす矯正方法です。
もっとも一般的な矯正方法で、適応症例が多い点が特徴としてあげられます。
しかし、矯正器具が目立ちやすく、食事や歯磨きがしづらいなどのデメリットがあります。
裏側矯正は、表側矯正と同様にワイヤーとブラケットを用いますが、矯正器具を歯の裏側に装着して歯を動かします。
マウスピース矯正よりも適応症例が多く、表側矯正よりも矯正器具が目立たないことが特徴です。
しかし、ほかの矯正方法よりも費用が高くなりやすいデメリットもあります。
前歯だけを矯正する場合の費用や矯正期間は、以下の表のようになっています。
矯正方法 | 費用相場 | 矯正期間 |
マウスピース矯正 | 10~40万円 | 数ヶ月~2年 |
表側矯正 | 30〜60万円 | 約3ヶ月~2年 |
裏側矯正 | 40~70万円 | 約3ヶ月~3年 |
マウスピース矯正は、費用を抑えながら短い期間で矯正できるでしょう。
しかし、前歯の状態によっては、表側矯正や裏側矯正しか対応できないこともあるので、マウスピース矯正でも十分な効果が得られるかどうかについては歯医者に相談すべきです。
矯正には、子どものうちに矯正をする小児矯正、大人になってから矯正をする成人矯正があります。
続いて、それぞれの矯正の特徴や違いについて解説します。
大人の矯正の場合は、歯並びの改善が主な目的です。
表側矯正や裏側矯正、マウスピース矯正などの方法により、見かけ上の歯並びをよくするために歯列を矯正します。
子どもの矯正の場合は、あごの骨が成長途中のため、骨格の成長を加味した歯列矯正をおこないます。
大人の矯正に比べて歯にかかる負担が少なく、できれば子どものうちに矯正をしておくのが望ましいでしょう。
ただし、症例によってある程度成長してから矯正をすべきケースもあるため、まずは歯医者で相談してみることをおすすめします。
最後に、前歯だけの矯正に関するよくある質問と回答について紹介します。
前歯だけの部分矯正であっても、通常の矯正治療と同様に、痛みを伴う場合が多いです。
歯列矯正で生じる歯の痛みには、以下のようなものがあります。
上の前歯だけの矯正も可能です。
歯の状態によりますが、噛み合わせに問題がなく、上の前歯だけを矯正すれば歯並びが整えられそうであれば、上の前歯だけに部分矯正がおこなわれます。
しかし、上の前歯だけを動かすと、下の前歯との噛み合わせが合わなくなる可能性が高いため、上の前歯だけの矯正で対応できるケースは希少です。
「前歯をすこし動かすだけなら自分でもできそう」と思われる方もいるかもしれませんが、自分で歯を動かすのはやめましょう。
歯列矯正では、適切な加減の力をかけ続け、すこしずつ歯を動かします。
自分で歯を動かそうとすると、歯や歯の周りの組織を傷つけてしまいます。
最悪の場合には、歯が抜けたり、神経が傷ついたりするリスクもあるため、非常に危険です。
歯並びは顔の印象を大きく左右するため、歯列矯正によって口元を美しくしたいと考える方は多くいます。
また、矯正には歯並びを整えることで日頃のケアが行き届きやすい口内環境をつくり、虫歯や歯周病のリスクを軽減する役割もあります。
しかし、歯列矯正にもワイヤー矯正や裏側矯正をはじめ、さまざまな種類があるうえ、それぞれメリットやデメリット、かかる費用などが異なります。
そのため、歯の状態や予算に応じて、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。
当院では、小児から大人まで豊富な矯正治療の実績をもとに、一人ひとりの患者さんに合った治療方法を提案させていただいております。
歯列矯正に関して詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。